「若者の心をつかむマーケティングがわからない」という悩みを解決する一冊
マーケティング戦略を練る上で、最も難しいのは若い世代の価値観や消費行動を理解することではないでしょうか。特に1996年~2012年生まれのZ世代は、生まれた時からデジタルが当たり前の環境で育ち、私たちの常識が通用しないことも少なくありません。彼らは今後の消費市場の中心となり、ビジネスを根本から変える力を持っています。本記事では、世代研究のエキスパートによる膨大なリサーチに基づいた「Z世代マーケティング」の要点を紹介し、これからのマーケティング戦略に必要な新たな視点をお伝えします。
書籍の概要
「Z世代マーケティング」は、生まれた時からインターネットが当たり前の環境で育った「デジタルネイティブ世代」であるZ世代(1996~2012年生まれ)について詳細に解説した一冊です。著者らは世代研究の専門家として、Z世代の消費行動の特徴や彼らにとっての「普通」の生活様式を明らかにしています。
Z世代にとっての「普通」とは、Amazonでワンクリック購入し、オンデマンドの移動手段を使い、決済・送金アプリで支払い、Instagramのダイレクトメッセージで副業をこなす生活スタイルです。彼らの多くは短時間でもスマートフォンから離れると不安を感じ、テクノロジーを使わない娯楽を知らないと言われています。
特筆すべきは、Z世代の金銭感覚が保守的であるという点です。世界的不況で苦しんだ親世代を見て育ったため、彼らは別の未来を描こうとしています。また、日本のZ世代はネットとリアルを巧みに使い分け、エッセンシャルな商品はネットで、こだわりの商品はリアル店舗で体験してから購入する傾向があります。
主要なテーマと内容
Z世代の特徴を理解する
Z世代は「接続優先世代」とも呼ばれ、以下のような特徴を持っています:
- デジタルネイティブ:幼少期からデジタル技術が普及した環境で育っており、オンラインでのコミュニケーションや情報収集が生活の一部です。
- 「体験」への価値志向:物質的な「消費」よりも、商品やサービスによって得られる「体験」や「経験」に価値を見出します。自己表現につながるものには積極的に投資します。
- トレンド変化の速さ:SNSが生活の一部であるため、新しいトレンドに敏感で、人気商品やミームの移り変わりが激しいです。
- 「共感」の重視:ブランドストーリーへの共感が消費行動を促し、SNS上での共感が重要な判断基準となっています。
新たな消費行動パターン
Z世代は従来の世代とは異なる消費行動を示します:
- 第三者の意見重視:購入決定時に第三者の意見を重視し、レビューや口コミで信頼できる情報を求めます。
- デジタルツールの最大活用:あらゆる場面でデジタルツールを活用し、情報収集の方法も独自です(GoogleよりYouTubeやAmazonで検索するなど)。
- ネットとリアルの使い分け:単純なネット主義ではなく、商品によって購入チャネルを使い分けています。
- 環境意識の高まり:日本でも環境に配慮した消費行動への意識が確実に高まっています。
効果的なZ世代向けマーケティング戦略
本書ではZ世代に響くマーケティングのために以下の戦略を提案しています:
- ビジュアル重視のSNS活用:Instagram、TikTok、YouTubeなどのプラットフォームで、Z世代の日常に溶け込む情報発信を。
- 情報の信頼性向上:Z世代は購入における失敗を避けたい心理が強いため、商品の効果や特長を明確に伝え、レビューを共有することが重要です。
- トレンド対応の俊敏性:Z世代の興味関心は急速に変化するため、トレンドを素早くキャッチし反映させる体制が必須です。
- ターゲットの細分化:Z世代は10代〜20代と幅広く、個性や多様性を重視する傾向が強いため、より細かいターゲティングが効果的です。
- 共有したくなる仕掛け:デジタルネイティブは良いと思ったものを友人や家族に共有する傾向が強いため、話題になる仕掛けを組み込むことが重要です。
こんな人におすすめ
- マーケティング担当者:Z世代向けの戦略立案に悩んでいる方、若年層の消費行動を理解したい方
- 経営者・事業責任者:今後の市場動向を把握し、中長期的な事業戦略を立てたい方
- デジタルマーケティング従事者:最新のSNSマーケティングやデジタル戦略のヒントを得たい方
- 人事・採用担当者:Z世代の価値観を理解し、採用戦略や職場環境づくりに活かしたい方
書籍の基本情報
- タイトル:Z世代マーケティング 世界を激変させるニューノーマル
- 原題:Zconomy
- 著者:ジェイソン・ドーシー、デニス・ヴィラ
- 訳者:門脇弘典