効果的なスマホゲームのマーケティング戦略を立てるためには、ユーザーセグメントの明確化と各セグメントの属性把握が極めて重要です。本記事では、セグメンテーションの重要性、把握すべき属性、そして定性調査の進め方について解説します。
【セグメンテーションの重要性】
スマホゲームのマーケティングにおいて、適切なセグメンテーションは以下の理由で重要です。
- 各セグメントの特性に合わせた戦略立案が可能になる
- 明確なターゲット設定により、メッセージの効果を最大化できる
- セグメント分けがない場合、施策の効果の振り返りやPDCAを回すことができない
【セグメントごとに把握すべき属性】
効果的なマーケティング戦略を立てるために、例えば、以下の属性を把握することで、後の施策を立案する際に役立てることができます。
a. ゲームプレイ習慣
普段のゲームプレイ時間
プレイ頻度(デイリー、ウィークリーなど)
プレイしているゲームタイトルの傾向
b. 情報収集行動
ゲーム情報の入手経路
普段使用しているSNSや媒体
c. インストール行動
ゲームをインストールするタイミング
インストールの決め手となる要因
d. 課金行動
課金頻度と金額
課金のきっかけとなる要素
e. ゲーム体験
過去に面白いと感じたゲーム
そのゲームの魅力的だった点
【自社ゲームに対する認識の把握】
各セグメントの自社ゲームに対する以下の要素を理解することが重要です。
- インサイト:ユーザーの深層心理や本質的なニーズ
- ドライバー:ゲームをプレイしたくなる動機
- バリア:ゲームをプレイする際の障壁や懸念点
尚、インサイトは「なぜそう思うのか?」を丁寧に深掘りする必要があり、設定したインサイトをさらに深掘りすることができる場合が多いため、注意が必要です。
【定性調査の重要性と仮説の役割】
定性調査は、ユーザーの深層心理や行動の背景を理解するために不可欠です。この際、仮説が最も重要となります。仮説が重要な理由は以下のとおりです。
- 調査の方向性を明確にし、効率的な情報収集を可能にする
例えば、「若年層ユーザーは協力プレイを重視している」という仮説があれば、その点に焦点を当てた質問を用意できる。 - 予想外の発見を促し、新たな洞察を得るきっかけとなる
仮説と異なる回答が得られた場合、その理由を深掘りすることで新たなユーザーニーズを発見できる可能性がある。 - 調査結果の解釈や分析の基準点となる
仮説と実際の結果を比較することで、市場の現状や自社の認識とのギャップを明確にできる。
【効果的な定性調査の特徴】
- 「Yes/No」ではなく、「なぜ」「どうして」といった深掘りの質問を重視
定量調査ではわからない部分を定性調査にて補完できると良い。 - 各セグメントの本質的なニーズや行動の背景を理解
ユーザーの言葉から、表面的な要望だけでなく、根底にある欲求や不満を読み取る。 - ユーザーの言葉や表現から、効果的な訴求ポイントを発見
ユーザーが使う具体的な表現やフレーズを広告コピーに活用することで、より響くメッセージを作成できる。また、コンセプトボードなどを事前に準備することで、言葉の表現やフレーズを磨くことができる。
【セグメントごとの訴求軸の決定】
把握した属性とインサイトに基づいて、以下のように訴求軸を決定します。
- セグメントごとに異なる印象やニーズに合わせたメッセージを作成
例えば、コアゲーマー向けには高度な戦略性を、カジュアルユーザー向けには手軽さを強調するなど、セグメントに応じてメッセージを変える。 - インサイトに「刺さる」訴求ポイントを明確化
ユーザーの潜在的な欲求や不満を解決する要素を前面に出すことで、より強い共感を得られる。 - 各セグメントの特性に合わせた広告クリエイティブの作成
明確化した訴求ポイントを、使用する画像やイラスト、動画の内容、テキストのトーンなど、セグメントの好みに合わせて作成できるよう整理。
【結論】
スマホゲームのマーケティングにおいて、セグメントごとの属性把握と適切な訴求軸の決定は成功の鍵となります。特に、仮説に基づいた綿密な定性調査を行うことで、各セグメントの深層心理や行動パターンを正確に理解し、効果的な戦略を立てることができます。この過程を丁寧に行うことで、限られたマーケティングリソースを最大限に活用し、ゲームの成功確率を高めることができるでしょう。